FL-netとは、イーサネットを採用し、コモンメモリシステムを基本とする産業用オープンネットワークです。FA、PAなどの分野で、プログラマブルコントローラ(PLC)、ロボットコントローラ(RC)、数値制御装置(CNC)などの制御装置(コントローラ)やパソコン(PC)などを相互接続し、制御・監視を行う目的でよく使用されています。
FL-net Ver.3では、コモンメモリシステム上に搭載する入出力機器を仕様化し、コントローラレベルに加え、デバイスレベルにも対応しました。FL-netに関する情報は、一般社団法人 日本電機工業会(略称:JEMA)のホームページをご参照ください。
- オープン化/マルチベンダの実現
多くの異なる製造業者のプログラマブルコントローラ(PLC)や数値制御装置(CNC)などのコントローラやパソコンなどを相互接続し制御・監視を実現することが可能です。
- 広く普及した標準規格に準拠
OAの機器で標準となっているイーサネットをベースに、標準のUDP/IPを使って効率のよい通信を実現しています。イーサネットを採用しているため、
- 低価格
普及している通信デバイスによって構成できるため、低価格を実現しています。
- ネットワーク機器が広く普及
トランシーバやハブ、ケーブル、パソコン用LAN カードなど、イーサネット用として広く普及したネットワーク用機器を用いることができます。
- 将来の高速化
将来1Gbps→10Gbpsと伝送速度の向上が期待できます。
- 光通信化
イーサネット用に普及している光リピータなどを用いることによって、必要な部分を光ファイバ化することで、500m以上の長距離伝送を可能にし、耐ノイズ性の向上及び屋外配線時の雷サージ対策を可能にすることができます。
- FAコントローラ間に必要な通能をサポート
使用者の要求仕様がスタートとなっているため、FAに必要な各種の特長を有しています。
- 大規模ネットワーク
最大254台の機器(ノード)が接続できます。
- 用途に応じた2種類の通信機能
サイクリック通信によって各ノードが同一のデータを常に共有できるコモンメモリ機能、及び必要なときに必要な情報だけをやり取りするメッセージ通信機能の両方をサポートしています。
- 大容量コモンメモリ
コモンメモリは8Kビット+8Kワードと大容量です。
- 高速応答
50ms/32ノード(2Kビット+2Kワード時)の高速応答が実現できます。
- マスタレス方式による高い信頼性
マスタが存在しないことから、各ノードの参加・離脱がほかのノードの通信に影響を与えることなしに自由にできるため、どのノードも自由に電源のON/OFF又はメンテナンスなどが可能です。
- FL-netは、イーサネットをベースとしたFAコントロール・ネットワークです。
- FL-netは、サイクリック伝送機能及びメッセージ伝送機能をもっています。
- FL-netの基本的な考え方は次のとおりです。
- イーサネットをFAコントローラ間の通信媒体(物理レベル及びデータリンク)にしています。
- イーサネット上で普及しているUDP/IPを用い、基本的なデータ送達手段を実現しています。
- 上記の基本的なデータ送達手段を用いつつ、ネットワーク内各ノードの通信媒体アクセスを管理/制御(衝突回避)して、一定時間内の伝送を保証します。
FL-netのプロトコル仕様書は、一般社団法人 日本電機工業会(略称:JEMA)のホームページからダウンロ−ド可能です。
FL-netは、次のように6つのプロトコル層から構成されています。
トランスポート層及びネットワーク層ではUDP/IPまたはTCP/IPを用い、データリンク層及び物理層ではイーサネットを用います。
FAリンクプロトコル層の特長は、次に示すとおりです。
-
マスターレス・トークン方式による送出管理を行い衝突を回避しています。
- トークンを一定時間で周廻させることによって、リフレッシュサイクル時間が規定可能です。
- サイクリックデータ送信後に、定められたトークンを送信します。
- 立ち上がり時一番若いノードからトークンを送信しています。
- 一定時間トークンが送信されない場合、次ノードがトークンを送信します。
- マスターレス・トークン方式によって、一部のノードが故障してもネットワークが停止することはありません。
- 運転モード(RUN/STOP)/ハード異常(ALARM)などの情報の管理テーブルを用意し他ノードの動作状態を参照できます。
FL-netのデータ通信は、サイクリック伝送及びメッセージ伝送をサポートしています。
- サイクリック伝送
サイクリック伝送は、周期的なデータの伝送を行います。各ノードは、コモンメモリ(共通メモリ)を介して、データを共有できます。
- メッセージ伝送
メッセージ伝送は、非周期的なデータの伝送を行います。通常は、送信要求があったときに、特定のノードに向けて通信を行います。
主な変更点は、以下の通りです。
- Ver.1版は、トークンおよびデータが同一フレームに入っており、この方法が米国特許に抵触する可能性があります。
Ver.2版は、特許抵触の可能性を回避するため、トークンとデータを別々のフレームに分割しました。
- ベンダ固有メッセージのサービスが追加されました。
なお、Ver.1版対応の機器とVer.2版対応の機器では、接続の互換性はありません。
FL-net Ver.3はFL-net Ver.2の基本機能に加え、以下の仕様が拡張されています。
- 汎用通信重畳
TCP/IPなどFAリンクプロトコル以外の通信の重畳が可能。
- ネットワーク設定
ネットワークパラメータ設定用の専用サーバを搭載し、統合設定ツールから設定が可能。
- デバイスレベル対応
固定マップ/任意マップによるIO定義を追加し、IO機器との接続が可能。
詳細は、一般社団法人 日本電機工業会(略称:JEMA)のホームページをご参照ください。