現場での注目テーマ
ノーコードやローコードで簡単に社内アプリを開発できるkintoneが、近年注目を集めています。kintoneは在庫管理アプリが充実しており、紙や表計算ソフトからの管理体制の転換に大いに役立ちます。今回は、kintoneを活用した在庫管理の方法や導入メリット、運用する際の注意点をわかりやすく解説します。在庫管理アプリの作成方法も詳しく紹介するため、在庫管理に課題を抱えている企業担当者は、ぜひ参考にしてください。
kintoneのサービス詳細kintoneを使用することで、クラウド上で正確かつ効率的な在庫管理が可能です。
kintoneを使えば、バーコードやQR(クイックレスポンス)コードで商品をスキャンしながら直接入力でき、手作業によるカウントミスや転記漏れを大幅に削減できます。
入力項目に必須項目設定を設ければ記入漏れも防止できるため、データ品質の向上にも役立ちます。棚卸業務の精度も高まり、欠品・過剰在庫によるコスト増も避けられるでしょう。
kintoneはクラウド型プラットフォームのため、パソコン・現場で使うタブレット・社用スマートフォンなどの端末でいつでも在庫状況を確認できます。
外出先やリモート勤務中でもアクセスでき、倉庫・店舗ごとの在庫状況を社内で即時に共有可能です。kintoneを使用することで情報連携のタイムロスを大幅に解消でき、業務の効率化に役立ちます。
商品・備品の入庫や出庫の履歴は常にリアルタイムで記録でき、kintoneアプリ内での在庫量も自動で更新されます。
棚卸や受発注時の記帳や表計算ソフトへの転記作業などが不要で、常に最新の在庫数を反映した状態を保つことができます。kintoneを活用することで、誤発注や欠品のリスクを低減でき、簡単に在庫の可視化を行えます。
kintoneではある一定の在庫量を「発注点」として設定し、在庫が発注点を下回ると自動で通知を送る仕組みを構築できます。
さらに、プラグインを組み合わせることで、担当者にメール通知やタスク割り当ての通知を送信することも可能です。このようにアラートと業務フローを連動させることで、欠品・納期遅延・発注漏れなどのリスクを低減できます。
kintoneでは各レコード内でコメントやチャットができ、在庫関連のやりとりをクラウド上で完結できます。
問い合わせや確認の履歴がリアルタイムで記録されるため、電話やメールなどのコミュニケーションコストを大幅に削減できるでしょう。コメントの履歴は後から誰でも確認でき、齟齬のないスムーズな情報共有を行えます。
kintoneを導入する際にかかるコストは月額利用料のみで、無料・有料のプラグインを活用すれば高度な在庫管理機能も追加できます。
kintoneは低コストで既存の帳票業務を代替でき、他の専用システムの導入に比べて初期費用やメンテナンスコストも大幅に抑えられます。そのため、中小企業や小規模な店舗でも無理なく本格的な在庫管理を始められます。
ここからは、実際にkintoneを使って在庫アプリを作成する方法を紹介します。
はじめに、在庫管理に必要な「商品マスタ」「入庫管理」「出庫管理」「在庫管理」「在庫集計」の5つのアプリを個別に用意し、必要なフィールドの追加と連携設定を行います。これらのアプリは商品の登録・入出庫の記録・在庫集計を担い、連携させることで高度な在庫管理システムを構築できます。
「商品マスタアプリ」は、商品名・商品コード・仕入れ単価・販売単価・発注点などの商品の基本情報を管理するアプリです。発注点を基に自動通知の仕組みを構築できるだけではなく、特定の入力項目における重複禁止も設定できます。
「入庫管理アプリ」は商品の入荷日・入荷量・単価などの入庫情報を記録するアプリで、商品マスタアプリとルックアップ連携を行います。
商品の入庫時にリアルタイムで在庫を追加し、自動計算によって他アプリにも反映される仕組みです。バーコードの読み取りやモバイル入力にも対応でき、現場作業をスムーズに行えます。
「出庫管理アプリ」は商品の出庫日・出庫量・出荷先などの出庫情報を記録し、商品マスタと連携するアプリです。出庫登録を行うと、現在の在庫量から自動で減算されます。こちらのアプリは入庫アプリと同様の構成で作成できるため、初期設定に時間がかかりません。
「在庫管理アプリ」は棚卸日・棚卸時の数量・棚卸時の単価などをまとめて表示するアプリです。関連レコード表示プラグインを活用すれば入出庫履歴を一覧化でき、現物とデータをスムーズに照合しやすくなります。
棚卸時の商品情報をチェックしたいときや、商品の入出庫の流れを確認したいときに役立ちます。
「在庫集計アプリ」は、在庫量を自動計算し、発注点を下回った場合に通知を出す仕組みを構築するアプリです。
連携する在庫管理プラグインを活用すれば、商品の値引き情報・評価額計算・グラフ表示なども可能です。こちらのアプリは、必要でなければ作成しなくてもかまいません。
各アプリにて、棚卸日の日付・商品マスタのルックアップ・棚卸時の数量を設定する必要があります。また、必要であれば各店舗や各倉庫ごとのルックアップも設定可能です。
各フィールドに正しい項目や数値を入力し、各アプリ間を紐づけておくことで、自動計算や関連レコードの正確な表示が行えます。
最後に、プラグイン設定画面で、各アプリに必要なフィールドを指定します。
商品マスタアプリをベースに、入出庫・棚卸との紐付けを設定したり、自動計算・アラート・集計結果のリンクを設定したりして、アプリ間の関係性を明確にしましょう。この作業によってプラグインが正確に機能するようになります。
kintoneには基本のアプリだけでなく、無料や有料のプラグインがいくつも用意されています。プラグインを追加すれば、在庫の自動集計・バーコード連携・発注点アラートなどの追加機能を簡単に実装でき、より高度な在庫管理を実現できます。
プラグインの導入はkintone内のプラグインメニューからファイルを読み込ませ、対象アプリに適用してフィールドを指定するだけです。コーディングが不要なため、誰でも簡単にプラグインの設定を行えるでしょう。
kintoneで在庫管理システムを運用する際は、入念な事前準備と運用ルールの整備が欠かせません。スムーズなシステム導入・運用のためにも、以下のポイントに注意しましょう。
kintoneの導入を決定したら、導入前に現時点での在庫管理における課題や現時点での業務フローを洗い出しておくことが重要です。
管理対象となる商品の範囲・管理内容・発注基準などを整理しておくことで、アプリの設計をスムーズに行えます。また、追加で搭載したい機能やプラグインがないかどうかも、アプリの設計前に検討しておきましょう。
スムーズなシステム運用のためにも、誰がいつ・どのアプリに入力・更新するかを明確にし、社内マニュアルを整備する作業も必要です。
社内で運用ルールを定めておくことで、情報の整合性を保持し、作業時のトラブルを防止できます。また、定期的に運用レビューを行い、マニュアルやアプリ設計の見直しを行うことで、より運用しやすいシステムを構築できるでしょう。
在庫管理システムを作成するにあたって、実際に使用する現場担当者の声を反映することは非常に重要です。現場でのヒアリングをもとにフィールドの配置・ルックアップ項目・通知設定を設計することで、作業者が使いやすく定着しやすいシステムを構築できるでしょう。
本格的にシステムを移行・導入する前に、試験導入期間を設けて改善要望を収集し、システムをブラッシュアップする流れがおすすめです。
kintoneでは、複数ユーザーが同時に在庫数を更新すると、意図しない数値の競合や上書きが発生するおそれがあります。
社内で作業者や作業タイミングのルールを設定したり、アプリ内で入力権限設定やレコードロック機能などを活用したりして、作業のバッティングによるトラブルの発生を防ぎましょう。
kintoneを活用した在庫管理システムは、在庫管理業務の効率化やデジタル化に大いに役立つツールです。プログラミング知識がない場合でも簡単に制作できるので、在庫管理に課題を抱えている人は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
日立ケーイーシステムズは、kintoneを提供するサイボウズのオフィシャルパートナーです。システム導入支援・システム構築サービス・アプリ開発支援サービスなどの豊富なサービスを展開しているので、これからkintoneの導入を考えている方は、ぜひ弊社のkintoneサービスをご利用ください。
kintoneのサービス詳細