現場での注目テーマ
ローコード開発のメリットとデメリット|内製化を成功させる選び方と失敗しない判断基準
この記事がオススメな方
主な対象:小売業、医療関係、物流業、製造業、教育関係
- 社内業務を効率化するためにローコードでアプリを作りたいが、どこまで自社だけで対応できるのか不安で比較情報を調べている。
- ノーコードとローコードの違いが分からず、エンジニアがいない環境でも導入できるのか検討している。
- 開発費を抑えつつ内製化を進めたいが、ローコードのデメリットや失敗例を確認してから判断したい。
こんにちは。サイボウズ株式会社が提供するクラウド型業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」の導入・開発を支援する日立ケーイーシステムズのライターチームです。
ローコード開発は、専門的なプログラミング知識がなくても業務アプリを自社で構築できる新しい開発手法として注目されています。小売業や医療、製造、教育など幅広い業界で導入が進み、業務効率化やコスト削減に貢献しています。
その一方で、ツールへの依存や機能の制約といった落とし穴も存在するため注意が必要です。この記事では、ローコード開発の特徴やノーコードとの違い、導入メリットとデメリット、適性まで解説します。
kintoneのサービス詳細ローコード開発とは
ローコード開発とは、専門的なプログラミング知識がなくても、直感的な操作で業務アプリを作成できる開発手法です。ドラッグ&ドロップ中心で必要な部分だけコードを記述し、短期間でシステムを構築可能です。ここでは、その特徴とノーコード開発との違いを解説します。
ローコード開発の特徴
ローコード開発は、標準機能を組み合わせて短期間でアプリを構築できることが最大の特徴です。プログラミングは最小限で済み、エンジニア以外の人でも開発に参加しやすくなっています。運用後の機能追加や修正も画面上で簡単に行えるため、コストを抑えながら現場主導の改善を続けられます。
ノーコード開発との違い
ノーコード開発とは、コードを一切書かずにアプリを作成する手法です。ローコードは同様の操作性を持ちながら、必要に応じてコードを記述できる点が異なります。自由度が高く複雑な要件にも対応できる一方で、基本的なIT(インフォメーションテクノロジー、以下同じ)知識や開発への理解が求められます。手軽さを重視するならノーコード、柔軟性を求めるならローコードが最適です。
ローコード開発のメリット
ローコード開発はその手軽さから、導入企業の多くが業務効率化やコスト削減の効果を実感しています。ここでは、開発スピードやコスト、人材活用などの観点から、具体的なメリットについて解説します。
開発スピードが速く短期間でリリースできる
ローコード開発は、テンプレートや部品(コンポーネント)を組み合わせるだけでアプリを作成できるため、従来のような長いコーディング工程が不要です。仕様変更もドラッグ&ドロップで即時反映でき、試作や修正を繰り返しやすいのが特徴です。
業務アプリや社内ツールのようにスピード重視の開発では、早期リリースと改善サイクルを両立できます。
開発コストを抑え内製化しやすい
ローコード開発は、開発期間を短縮できるため、人件費や外注費の削減にもつながります。プログラミング知識がなくても操作できるため、外部委託せずに社内で完結しやすく、内製化の推進にも役立ちます。運用後の修正や更新も自社で行えるため、追加コストを抑えながら改善を継続できます。
非エンジニアでも開発に参加でき現場主導で改善できる
ローコード開発は直感的なUI(画面)を備えており、現場担当者でも開発に参加できるのが特徴です。現場の従業員が設計を担うことで課題を即時に反映でき、無駄のないシステムを構築できます。IT部門の負担を減らし、業務部門が主導して改善を進められるため、スピードと精度の両立が可能です。
品質を確保しながら最新機能を使える
ローコード開発プラットフォームは、セキュリティや動作検証の基盤が整っており、高品質なアプリを安定的に構築できます。自動更新で新機能やセキュリティ対策も適用され、常に最新環境で運用可能です。標準機能を使うだけで品質を保てるため、スピードと信頼性の両立を実現します。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発は手軽に始められる一方で、運用や拡張の段階で課題が生じることもあります。ここでは、導入後に現場で起こりやすいデメリットについて解説します。
プラットフォームの操作習得に時間がかかる
ローコード開発は「誰でも使いやすい」といわれますが、実際にはプラットフォームごとの仕様や設定方法を理解する必要があります。画面設計やワークフロー(一連の業務手順)構築、データ設定など、使いこなすには一定の知見が必要です。ベンダーごとに操作性が異なるため、導入初期は研修や練習が欠かせません。
自由度が限られ複雑な処理は対応しづらい
ローコード開発は、用意された機能を組み合わせて構築するため、フルスクラッチ開発のような自由度はありません。標準機能で対応できない業務フローや独自処理を実装する際に制約が生じます。APIや外部ツール連携にも限界があり、細かなデザイン調整や複雑な制御が難しい場合もあります。
プログラミング知識が必要になる場面がある
ローコード開発でも、完全にコードを書かずに済むわけではありません。条件分岐や外部システム連携など、複雑な要件を満たすためにはスクリプトやAPI設定の知識が必要です。最低限のプログラミングスキルを持つ人材がいなければ、運用や保守が滞る可能性もあります。万が一に備え、技術的なサポート体制を整えておくことが重要です。
特定ツールに依存し移行が難しくなることがある
ローコード開発で使うツールは、提供会社によって機能や仕組みが大きく異なります。そのため、別のツールへ切り替える際には、画面やデータを一から作り直さなければならない場合があります。たとえば、操作メニューの構成や設定の手順が違うだけでなく、作成したアプリが他の環境では動かないことも珍しくありません。
ローコード導入で起こりやすいつまずき例
ローコード開発は簡単に始められるように見えても、実際の運用では思わぬ壁に直面することがあります。ここでは、導入後の現場で起こりやすい代表的なつまずきと、その影響について解説します。
開発プラットフォームを十分に活用できない
ローコード開発ツールを導入しても、操作方法を理解できず十分に使いこなせないことがあります。画面設計や設定操作に慣れず、現場担当者が戸惑うケースも少なくありません。その結果、開発が進まず「導入したのに機能しない」という状況に陥ります。設定ミスや動作不良も起こりやすく、研修不足のまま導入すると失敗の原因になります。
求める機能を再現しきれず運用に支障が出る
ローコード開発は標準機能を使って構築するため、独自フローや複雑な処理を完全に再現できない場合があります。たとえば「他のシステムとの連携ができない」「自動化が限定的」といった状態です。そのまま運用することも可能ですが、手作業が増えて効率が下がります。導入前に再現可能な範囲を確認し、必要に応じて代替策を用意することが大切です。
担当者だけで解決できない場面が増え開発が進まなくなる
ローコード開発は非エンジニアでも扱えますが、全てを担当者だけで進めるのは難しい場面があります。システム連携やエラー対応など、専門知識が必要な局面で作業が止まってしまうケースもあります。現場に任せきりにせず、必要に応じてサポート人材を用意するなどの体制づくりが重要です。
ローコード開発を活用すべきケース
ローコード開発にはメリット・デメリットがあるため、自社の課題や目的と合っているかを見極めることが導入を成功させる上で重要です。ここでは、ローコード開発に向いているおもなケースについて解説します。
一般的な業務アプリをベースにカスタマイズしたい場合
ローコード開発は、既存のテンプレートや標準機能を活用して業務アプリを構築できるため、入力フォームや承認フローなど汎用的な機能を持つシステム開発に適しています。さらに、自社の業務に合わせて一部をカスタマイズすることも可能です。
たとえば、見積書作成アプリや勤怠管理アプリなど、一般的な機能をベースにしつつ、自社用に調整したいような場合に最適です。
開発を内製化しつつ工数を抑えたい場合
自社内で開発を進めたいが、エンジニアのリソースが限られている場合はローコード開発が大きな助けになります。テンプレートやドラッグ&ドロップ操作により、短期間でアプリを構築できるため、開発外注にかかるコストを削減できます。
多少の制限はありますが、最低限の知識を身につければ運用後の修正や改善も社内で行えるため、スピードとコストの効率化が可能です。
非エンジニア中心に進めたいが技術フォローも確保できる場合
ローコード開発は非エンジニアでも扱いやすい反面、部分的にプログラミング知識が必要な場面もあります。そのため、現場担当者が中心となって開発を進めながら、必要に応じてIT部門や外部エンジニアが技術サポートを行える体制が理想的です。
こうした体制が整っていれば、現場のスピード感と専門知識の両立が可能です。
ローコード開発が適さないケース
ローコード開発は万能ではなく、プロジェクトによっては不向きなケースもあります。ここでは、他の方法を検討すべきおもなケースについて解説します。
大規模システムや高度に細部を作り込みたい場合
全社規模の基幹システム(販売・会計・生産・在庫管理などの基幹業務を効率化するためのシステム、以下同じ)や細かな要件を持つアプリの開発では、ローコードの制約が障害になることがあります。標準機能では複雑な業務ロジックやリアルタイム処理を再現しきれず、追加開発が必要になるケースもあります。こうしたプロジェクトでは、自由度の高い従来型開発が最適です。
完全にノーコードで非エンジニアのみで進めたい場合
プログラミングや設定を一切行わずに開発したい場合は、ローコードではなくノーコード開発の方が向いています。ローコードは一部でコード記述や構築設定が必要なため、全く知識のない人だけで進めるのは難しいといえます。
プラットフォーム習得や最低限のコード学習を避けたい場合
ローコード開発ツールを使いこなすためには、基本操作や簡単なコード知識を習得する必要があります。研修や学習に時間をかけられない場合、導入しても十分に活用できない可能性があります。また、現場の人材が頻繁に入れ替わるような現場でも、ツールの習熟が負担になりやすいため注意が必要です。
まとめ
ローコード開発は、スピーディに業務アプリを構築し、内製化を進めたい企業にとって有効な手法です。標準機能を活用してコストを抑えながら、自社業務に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。ただし、全ての開発に適しているわけではなく、複雑な処理や高い自由度を求める場合には注意が必要です。導入前に目的を明確にし、体制を整えることで、ローコードの利点を最大限に活かせます。
業務改善をより確実に進めたい企業には、日立ケーイーシステムズが提供するkintone(キントーン)の導入がおすすめです。kintoneは専門知識がなくても自社の業務に合ったアプリを簡単に作成できるクラウドサービスで、部署間のデータ共有もスムーズです。
日立ケーイーシステムズでは、導入支援からカスタマイズ、基幹システムとの連携までワンストップで対応し、初心者でも安心して利用できます。業務をもっとスマートに進めたい場合は、ぜひ kintoneの無料トライアル や 導入相談 をご利用ください。
kintoneのサービス詳細