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現場での注目テーマ

タブレット業務用
活用と選定

製造現場のDXを加速する、業務用タブレットの戦略的活用法

この記事がオススメな方

  1. 現場のペーパーレス化を推進したい方
    紙の図面や指示書が多く、管理や情報共有に課題を感じている製造現場の担当者へ、タブレット活用の第一歩を解説します。
  2. リアルタイムな情報共有を実現したい方
    現場の生産実績や品質情報を即座にデータ化し、迅速な経営判断や品質改善に繋げたいと考えている管理者におすすめです。
  3. 現場でのタブレット破損や故障にお困りの方
    民生用タブレットを導入したものの、落下や粉塵による故障が頻発し、修理コストや業務停止にお悩みの方に、解決策を提示します。
  4. 作業効率を落とさない操作性を求める方
    手袋をしたままでもスムーズに操作でき、現場の作業を止めない、使い勝手の良いタブレットの具体的な要件をご紹介します。
  5. システムの長期運用とコスト削減を両立したい方
    導入後のOS更新やアプリ改修の手間を最小限に抑え、ライフサイクル全体での総所有コスト(TCO)を削減したいシステム管理者にも必見です。

この記事では、製造現場のDXを加速させる業務用タブレットの戦略的な活用法と、その選定で失敗しないためのチェックポイントを5つのテーマで詳しく解説します。

製造現場におけるタブレットの役割と要件
組立ラインの作業者が、手元のタブレットで3D図面や作業手順動画を確認したり、品質記録を入力したりと、具体的な活用シーンを通じて、ペーパーレス化やリアルタイム化のメリットを解説します。
工場内の移動とハードな使用に耐える、軽量かつ堅牢な筐体設計
自動車工場のように、作業者が工場内を移動しながらタブレットを使用する状況を想定し、持ち運びやすさと、万が一の衝撃にも耐えるMIL規格などの堅牢な設計の重要性を説明します。
粉塵や落下から業務データを保護する、防塵・防滴・耐衝撃性能
粉塵の多い環境や、屋外の設備点検で急な雨に降られても安心して使えるIP等級の防塵・防滴性能と、床への落下を想定した耐衝撃性能について解説します。
作業を止めない操作性:継続的な業務を支える多様な機能
機械オペレーターが作業用手袋を外すことなく確実なタッチ操作ができる機能や、特定の機能を一発で起動できる物理的なファンクションキーなど、業務を支える多様な機能を紹介します。
長期安定供給でシステム改修や再評価コストを削減
医薬品工場などで、一度検証・導入したシステムを長期間変更せずに使い続ける必要がある場合に、同一モデルを安定的に購入できることの重要性とコストメリットを説明します。

1. 製造現場におけるタブレットの役割と要件

製造現場におけるタブレットの活用は、単なる紙の置き換えにとどまりません。生産性向上、品質改善、そして作業者の負担軽減に直結する多様な役割を果たします。

具体的な活用シーン

ペーパーレス化の徹底:

  • 図面・作業標準書: 最新版のデータをサーバーで一元管理し、常に正しい情報を参照。紙の印刷・配布・差し替えの手間とコストを削減します。
  • 生産指示書・QC工程表: 指示内容の変更もリアルタイムに反映。作業者は手元のタブレットで即座に確認できます。

リアルタイムな情報収集と共有:

  • 生産実績入力: 各工程の完了時に、作業者がその場で実績を入力。進捗状況がリアルタイムで可視化され、管理者は迅速な判断が可能になります。
  • 品質検査記録: 検査結果を写真付きで記録。不良発生時に即座に関係部署へ情報共有し、迅速な原因究明と対策立案を支援します。
  • 設備点検報告: 点検項目をチェックリスト化し、異常があればその場で報告。設備の予知保全にも繋がります。

作業者支援と教育:

  • 動画マニュアル: 複雑な組立作業やメンテナンス手順を動画で確認。新人作業員でも、分かりやすく正確に作業を習得できます。
  • 遠隔作業支援: 現場でトラブルが発生した際、タブレットのカメラを通して遠隔地の熟練者や管理者が状況を把握し、リアルタイムで指示を送ることができます。

これらの活用を実現するためには、タブレットに「堅牢性」「操作性」「接続性」「セキュリティ」、そして「運用性」といった、製造現場ならではの要件が求められます。

2. 工場内の移動とハードな使用に耐える、軽量かつ堅牢な筐体設計

工場内で作業者は常に移動し、時には工具や部品と一緒にタブレットを持ち運ぶ必要があります。そのため、タブレットには携帯性と堅牢性の両立が求められます。
業務用として設計された堅牢タブレットは、日々のハードな使用や不意の衝撃から内部の精密な電子部品を守る、頑丈な筐体設計がなされています。耐衝撃性や耐振動性、耐環境性の客観的な指標として、米国国防総省が定める「MIL規格(ミルきかく)」への準拠や、具体的な高さからの「落下試験」をクリアしているかどうかが挙げられます。

3. 粉塵や落下から業務データを保護する、防塵・防滴・耐衝撃性能

製造現場は、粉塵が舞い、水や油が飛散する可能性があります。また、作業中に誤ってタブレットを落下させてしまうリスクも常に付きまといます。
選定時には、国際的な保護等級である「IPコード」を確認することが必須です。例えば「IP65」という表記は、「6」が防塵性能(粉塵の侵入を完全に防ぐ)を、「5」が防水性能(いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない)を示します。これにより、粉塵が多い場所や水がかかる可能性がある場所でも安心して使用できます。
さらに、具体的な高さ(例:1.5m)からの落下試験をクリアするような耐衝撃性能があれば、作業台や腰の高さから誤って落下させてしまった場合でも、端末の破損や業務データの損失といった最悪の事態を防ぎ、業務の継続性を確保します。

4. 作業を止めない操作性:継続的な業務を支える多様な機能

製造現場では、安全のために作業用手袋の着用が義務付けられていることが多くあります。一般的なタブレットでは手袋越しのタッチ操作が難しく、その都度手袋を外す手間は作業効率を大きく低下させます。
業務用タブレットは、この課題を解決するための機能を備えています。動作モードにより、手袋をしたままや、水滴がついたままでもタッチパネルで操作できる機能を搭載したモデルがあります。
さらに、画面操作だけでなく、物理的な「ファンクションキー」の存在も重要です。ファンクションキーには、キーボードの特定のキーや業務用アプリの立ち上げを割り当てることができます。これにより、手元が汚れていたり、画面を正確にタッチしにくい状況でも、ボタン一つで確実かつ迅速な操作が可能となり、作業者のストレスを大幅に軽減します。
これらに加え、NFCリーダー内蔵の製品では、社員ICカードによるログイン認証や、NFCタグを使った物品管理など、よりセキュアで効率的なシステムを構築できます。
また、利用者自身でバッテリー交換が可能なモデルであれば、長時間のシフトでも予備バッテリーと交換して業務を継続でき、ダウンタイムを最小限に抑えられます。

5. 長期安定供給でシステム改修や再評価コストを削減

業務用のシステムとしてタブレットを導入する場合、そのライフサイクルも重要な選定ポイントです。民生用タブレットはモデルチェンジが早く、数年で後継機が手に入らなくなることがほとんどです。
例えば、導入から3年後にシステムを拡張するため10台のタブレットを追加導入しようとした際、民生品では同じモデルが手に入らず、新しいモデルで既存の業務用アプリが正常に動作するか、一から検証し直す必要があります。場合によっては、アプリの改修が必要になり、想定外のコストと時間が発生します。
同一モデルを長期間にわたって安定的に供給する製品を選ぶことで、こうしたリスクを回避できます。一度導入したシステム構成を長期間維持することができ、導入から廃棄までにかかる総所有コスト(TCO)を大幅に削減できます。

まとめ

製造現場のDXを成功に導くには、民生用タブレットにはない「堅牢性」や「操作性」、そして「運用性」が求められます。現場の過酷な環境に耐え、作業を止めない使いやすさを備え、長期的な視点でのコスト削減まで考慮された業務用タブレットこそが、DXを真に加速させる戦略的なツールとなり得ます。