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IoTゲートウェイとは?役割から事例まで導入前に知っておきたい知識を解説
この記事がオススメな方
主な対象:製造業の生産管理・生産技術・設備管理・品質保証
- IoT化を検討していて、ゲートウェイの役割や接続方法を基礎から理解しようとしている現場担当者の方
- IoTゲートウェイの選定ポイントや活用例を調べている、複数機器の通信を一元管理したいシステム担当者の方
IoTの活用が進むなか、センサーや機器から得たデータを効率的に集めて活用するための仕組みは、データ連携の基盤となるものです。その中心的な役割を担うのが「IoTゲートウェイ」です。現場とクラウドの橋渡し役として、通信の中継やデータ変換、機器管理などを担います。
この記事では、IoTゲートウェイの役割や接続方法、活用事例といった基本事項について解説します。
WORKFRONT/IoT目次
IoT導入の要となるゲートウェイとは
IoTシステムを構築する際、さまざまな機器やネットワークをつなぐ役割を担うのが「ゲートウェイ」です。通信の中継にとどまらず、機器の制御やデータの管理など多面的に活用されます。ここでは、その基本機能や強み、類似機器との違いについて解説します。
ゲートウェイが果たす通信・管理機能
IoTゲートウェイは、現場のIoT機器と上位システムの間で通信を仲介する役割を担います。収集されたデータを一元化し、異なるフォーマットを共通仕様に変換する機能があります。また、収集した情報の一部を事前に処理することで、ネットワークやクラウドの負荷を軽減させる重要な存在です。
さらに、機器の状態監視やソフトウェア更新といった管理機能も備えており、運用全体の安定性向上に貢献しています。
接続・変換・管理を担うIoTゲートウェイの強み
IoTゲートウェイは、BluetoothやZigbee、LTEなど、多様な通信方式に対応しています。異なる規格の機器が混在する環境でも、ゲートウェイを介せばスムーズな連携が可能です。加えて、デバイスの設定やパスワード、アクセス権の管理も一括で行えるため、運用効率が大幅に向上します。
エッジ側でのデータ処理に対応したモデルもあり、リアルタイム制御や遅延の最小化にもつながります。
IoTルーター・エッジ機器との機能の違い
IoTルーターは、おもにデバイスをネットワークに接続するための中継機器であり、通信の経路確保に特化しています。一方、IoTゲートウェイはデータの変換や管理、制御までを担う多機能な機器です。
また、エッジ機器はローカルでのデータ処理能力を重視しており、分析や判断を現場で完結させることに強みがあります。目的や処理範囲に応じて、これらの機器は使い分ける必要があります。
IoTゲートウェイはどのように接続されるのか
IoTゲートウェイを導入する際は、どのように機器やシステムとつなぐかを考えることが大切です。設置環境や運用目的によって、接続方法も変わります。ここでは、代表的な接続方式とそれぞれの特徴について整理します。
IoT機器とは無線接続が主流|設置や拡張が容易に
IoTゲートウェイとセンサー類などの現場機器との接続には、無線方式が広く使われています。物理的な配線が不要なため、レイアウトの自由度が高く、後からの設置や増設も簡単に行えます。特に工場や建設現場など、配線が難しい場所では効果的です。
ただし、通信の安定性やセキュリティ面では有線に劣ることがあるため、センサーの設置間隔や同時接続数に配慮したネットワーク設計が求められます。
サーバーやクラウドとは有線接続で安定性を確保
クラウドやサーバーとIoTゲートウェイをつなぐ際は、データ通信の安定性を重視して有線接続が選ばれる傾向があります。Ethernetなどを使えば、大量のデータを高速かつ安定して送信できます。拠点内に配線が可能な場合は、障がいや干渉のリスクが低く、長期間の安定稼働にもつながります。
IoTゲートウェイ導入によって得られるおもなメリット
IoTゲートウェイを導入すると、現場の情報がリアルタイムに収集・活用されるようになり、機器やシステムの運用にも変化が生まれます。ここでは、IoTゲートウェイによってもたらされるおもなメリットについて解説します。
遠隔監視とデータ収集の中核として業務効率化を実現
IoTゲートウェイを活用すれば、点検や稼働監視に関わる業務を自動化できます。従来は現場で人手により行っていた点検も、センサーのデータを遠隔で取得することで、巡回工数を削減できます。さらに、取得したデータはリアルタイムに集約されるため、現場状況の把握も可能です。
業務のムダを省き、省人化や効率的なリソース運用につながります。
サービス機器の稼働監視による付加価値の提供
製品にIoTゲートウェイを組み込むことで、顧客先の機器稼働状況を把握できるようになります。これにより、消耗部品の適切な交換時期を事前に把握し、必要なサービスをタイミングよく提供できます。保守対応の迅速化により顧客満足度が向上し、継続的な契約や競合他社との差別化も可能です。
機器の使用状況を可視化することで、利用傾向に応じた柔軟なサービス提案もできます。
設備異常の早期検知による生産性向上
ゲートウェイを介して機器の状態を常時監視することで、異常の兆候をすばやく検知できます。振動や温度などのデータを継続的に蓄積し、変化を検出すれば即座に通知可能です。
これにより、トラブル発生前に保全対応が行え、ライン停止を最小限に抑えられます。結果として、生産性の維持と計画外の停止リスク軽減につながります。
業界別に見るIoTゲートウェイの活用事例
IoTゲートウェイは、業種や現場の特性に応じて多様な形で活用されています。機器同士の連携やデータの集約、運用の最適化など、導入目的もさまざまです。ここでは、製造・インフラ・医療といった代表的な分野における具体的な活用事例とその有効性について解説します。
製造現場での異種機器連携を実現
製造業では、DX化に伴い異なる通信規格を持つさまざまなIoT機器が稼働しています。IoTゲートウェイを導入することで、それらのデバイスを共通のネットワークで一括管理できるようになり、工程全体の可視化が可能になります。
さらに、機器の稼働状況を常時監視し、異常の兆候を早期に把握することで、予防保全にもつながります。過酷な環境で使用する場合は、耐熱・耐振動などに対する対策に注意が必要です。
インフラ分野でのエネルギー管理に活用
電気・ガス・水道といったインフラ整備では、エネルギーの供給状況や消費量の把握にIoTゲートウェイが役立ちます。各施設に点在するセンサーの情報を集約し、リアルタイムで可視化することで、安定供給や設備の最適運用が実現します。
通信トラブルや長期運用に備えて、防塵・防水性能や耐久性を考慮して機種を選定しましょう。
医療現場での温湿度監視とデータ一元管理
医療分野では、薬品や検体の保管環境を安定させることが求められます。IoTゲートウェイを介して冷蔵設備内の温湿度センサーと連携すれば、保管状況を自動で記録、監視でき現地での点検負担も軽減されます。低温環境でも安定して動作する機器を選定しましょう。
IoTゲートウェイを比較・選定する際のポイント
IoTゲートウェイは、用途や環境によって求められる機能や性能が大きく異なります。接続できる機器の種類や処理速度、運用時の安定性など、選定時に確認すべき項目は多岐にわたります。
ここでは、導入後に後悔しないために押さえておきたいポイントについて解説します。
処理性能・対応規格・インターフェースの種類
IoTゲートウェイを選ぶ際は、処理速度や対応通信規格、接続インターフェースの種類を確認しておくことが重要です接続先となるIoT機器が複数ある場合、それぞれの仕様に対応していなければ正しく通信できません。処理能力が不足すると、データの遅延や取りこぼしが発生する恐れもあります。
導入環境や運用目的に合わせて、必要な機能を備えた製品を選定しましょう。
使用環境に応じた耐候性・耐久性の確認
IoTゲートウェイは、設置場所の条件に合った製品を選ぶことが大切です。工場や屋外などでは、温度変化や粉じん、振動、電磁波の影響を受ける可能性があります。こうした環境に対応できないと、誤動作や故障の原因にもなりかねません。
動作温度や湿度、防塵防滴などの条件をカタログや仕様書であらかじめ確認しておくことが重要です。
障害発生時の自律復旧機能と運用安定性
運用中に突然の電源断やフリーズが起きた場合、自動復旧できるかどうかは選定の大きなポイントです。たとえば、電圧の変動や瞬時停電があっても、正常に再起動できる設計が望まれます。また、通信が一時的に停止しても、別の回線に自動で切り替えられれば安心です。
止まらずに稼働し続ける仕組みは、IoTの安定稼働に直結します。
まとめ
IoTゲートウェイは、通信の中継やデータ変換、遠隔管理といった多様な役割を担い、IoT導入の中核となる存在です。接続方法や選定のポイントを押さえることで、現場業務の効率化や安定運用が期待できます。活用の幅が広く、製造やインフラ、医療などさまざまな分野で導入が進んでいます。
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