kintone（キントーン）でできるデータ集計｜機能・使い方・外部連携について徹底解説

こんにちは。サイボウズ株式会社が提供するクラウド型業務改善プラットフォーム「kintone（キントーン）」の導入・開発を支援する日立ケーイーシステムズのライターチームです。

業務で扱うデータを生かす上で、集計は欠かせない作業です。近年はkintoneを活用し、部門ごとに散在する情報をまとめて管理する企業が増えています。標準機能を使えばグラフやクロス集計で手軽に分析でき、外部サービスと連携すればより高度な可視化も可能です。

この記事では、kintoneによるデータ集計の機能や使い方、外部サービスとの違い、具体的な活用事例まで解説していきます。

kintoneのサービス詳細

データ集計の重要性と活用の基本

ビジネス現場では、データ集計がなければ部門ごとの実績比較や課題の把握が困難になります。集計は意思決定の基盤で、売上やコスト、顧客動向を可視化できる重要事項です。データ集計の種類として、平均や合計を算出する「単純集計」と、異なる変数を組み合わせて相関を探る「クロス集計」があります。

部署別×月別で売上を並べれば、停滞している領域が明確になります。集計や分析と密接な関係にありますが、役割は異なり、情報の整理が集計で傾向解釈が分析です。正確な集計により異常値や改善余地を早期に発見でき、次の打ち手を検討するのに役立ちます。

kintoneで使えるデータ集計機能の種類

kintoneには、データを整理し見やすくするための集計機能が標準で備わっています。ただし機能の特徴を理解せずに使うと、十分に生かせないこともあります。ここでは、kintoneで利用できる代表的な集計機能とそれぞれの概要について解説します。

表やグラフで表示する機能

kintoneの標準機能には、横棒・縦棒・円・折れ線・面・曲線など多彩なグラフ形式が用意されています。さらに集合・積み上げなどの表示方法を選べるため、目的に応じた見せ方が可能です。

数値として確認したい場合は、単純な「表」や「クロス集計表」を活用でき、アプリ内のデータを整理しながら、わかりやすく可視化できます。

クロス集計や条件指定による分析機能

kintoneでは、複数フィールド（情報を入力するための個別の入力枠、以下同じ）を組み合わせてクロス集計を作成できます。たとえば「部署×月」や「商品種別×売上区分」など、異なる軸で比較する際に便利です。また、条件を指定して集計対象を絞れるため、不要なデータを除外し必要な部分だけを確認できます。

特定条件で区切ることにより、集計結果をより正確かつ見やすい形に整えられる点も特長です。

リアルタイムに活用できる可視化機能

kintoneのグラフや表は、アプリに入力された最新データを自動的に反映します。更新と同時に結果が切り替わるため、常に最新の数値を画面上で確認できる仕組みです。

加えて、よく使う集計をアプリの一覧画面やポータルに表示できるため、利用者は画面を移動せずに、リアルタイムで現状を確認できます。

kintone標準機能でできるデータ集計

kintoneには、追加のプラグインや外部連携を導入しなくても使える集計機能が備わっています。ここでは、標準機能を使った集計の流れや、複数の切り口から確認できるクロス集計について解説します。

単純な集計やグラフ作成の基本的な流れ

kintoneでは、計算フィールドを用いることでレコード（フォームの複数データを纏めた１つの単位、以下同じ）内の数値をもとに合計や平均などを自動計算できます。単価×数量の小計を求めるといった基本集計も、数値フィールドと計算式を設定するだけで完了します。

さらに、集計したデータはレコード一覧から棒グラフや円グラフなどに変換でき、条件を絞って表示することも可能です。設定後は保存すれば何度も呼び出せるため、定期的な確認に便利です。

クロス集計で複数軸から分析

クロス集計表を使うと、複数のフィールドを組み合わせて結果を確認できます。たとえば「部署別×月別」や「担当者別×製品名」などを指定し、売上や件数を比較する表を作成できます。

設定方法は、グラフ作成画面で「クロス集計表」を選び、縦軸・横軸・集計方法を指定するだけです。条件を加えれば対象を絞り込むこともでき、シンプルな表ではわかりにくい傾向を把握できるようになります。

複数アプリや外部サービスと連携した高度な集計

kintoneの標準機能は便利ですが、アプリをまたいだ集計や複雑な処理には限界があります。そこで役立つのが、アプリ間連携や外部サービスとの組み合わせです。ここでは、それらを活用した高度な集計方法を紹介します。

アプリ間レコードをまとめて集計・管理する

kintoneは標準機能だけではアプリをまたいだ集計ができません。そのため、予算管理アプリと実績管理アプリを横断して予実管理（予算と実績の管理）を行ったり、複数の売上アプリをまとめたりしたいときには不便です。こうした場面では、連携プラグインを活用することで複数アプリのレコードを集約し、一元的に管理できます。

たとえば、関連レコードをキーにしてデータを結合すれば、各アプリに分散していた数値を1つの画面にまとめられます。さらに、定期的に自動更新される設定を組み込めば、手作業での集計や確認作業を省き、最新の情報を常に把握することも可能です。

kintoneデータ集計機能の便利な使い方

標準機能や連携サービスを活用すれば、集計したデータを業務のさまざまな場面で生かせます。ここでは、kintoneの集計結果をより便利に使うための方法を解説します。

ポータルや掲示板にグラフや表を表示する

業務で頻繁に確認するグラフや表を、その都度アプリを開いて探すのは意外と負担になります。ポータルや掲示板に張り付けておけば、トップ画面から常に最新の情報を確認可能です。

設定は掲示板編集から「アプリ貼り付け」を選び、対象グラフを指定するだけです。常時表示されるため確認が早まり、複数アプリの比較も容易になり意思決定も迅速になります。

集計結果をCSV・表計算ソフトに出力して活用する

従来はスクリーンショットで資料に貼るしかなかった集計結果も、CSVや表計算ソフトのファイル形式で直接出力できます。これにより表計算ソフトやプレゼンテーションソフトに読み込み、体裁を整えたグラフを作成可能です。

操作は対象グラフの「オプション」から書き出し、形式を選ぶだけで資料作成が効率化され、精度も高まります。

Garoonや外部サイトにグラフを埋め込む

集計画面を開かなくても他システムでグラフを共有できます。アプリの「オプション」から埋め込みタグを取得し、Garoonのポートレットや外部サイトのHTML （ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ）に貼るだけです。これにより、利用者は別画面に移動せずデータを確認でき、情報共有のスピードが向上し作業負担も軽減されます。

定期レポートで時系列の変化を記録する

これまでは集計結果を確認するたびに画面をキャプチャで保存し、後から並べて比較するしかありませんでした。kintoneでは、定期レポートを設定すると、その作業を自動化できます。対象グラフを選び記録間隔を指定しておけば、一定のタイミングで集計結果が自動的に保存されます。

過去と現在の数値を並べて比較できるようになり、変化を追いやすくなるため報告資料の作成もスムーズになります。

グラフからレコードを絞り込み一覧で確認する

従来は数値を見てから別途条件を検索する必要がありましたが、グラフ上の要素をクリックするだけで対応レコードが一覧表示されます。

たとえば売上の棒グラフを選択すれば、その内訳となる案件がすぐに抽出されます。これにより気になるデータを瞬時に掘り下げられ、調査の手間が減り迅速な確認が可能です。

kintoneデータ集計機能を使う際の注意点

便利な集計機能ですが、利用する際には制約や注意点も存在します。ここでは、kintoneの集計機能を使う上で知っておきたい注意点について解説します。

別アプリのレコードは集計できない

kintoneの集計機能は、1つのアプリ内のデータだけを対象にしています。そのため予算アプリと実績アプリを横断して合計を出すことは基本的にできません。

ルックアップ（他のアプリに登録されている情報を参照して、必要なデータを取得またはコピーする機能）でコピーした値なら集計できますが、自動更新されないため修正時に手間が増えます。複数アプリを組み合わせて使う企業にとっては大きな制約となります。

関連レコード一覧やテーブルは集計対象外になる

関連レコード一覧やテーブルに入力された数値は、一覧表示はできても集計の対象にはできません。たとえば顧客ごとの案件を関連レコードでまとめても、金額の合計は自動算出されません。条件に使うことは可能ですが、細かい計算には対応できないため、別途プラグインや外部ツールが必要となります。

アプリ単体でしかデータを集計できない

基本機能ではアプリ単体の情報だけを集計します。たとえば支社ごとに別アプリで売上を管理している場合、支社別のグラフは作れても全社合計を自動で表示できません。そのため、担当者が手作業でデータを集め直す必要があり、入力の手間や計算ミスが増える原因になります。