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IoTセンサー活用ガイド|種類・業界別活用シーン・導入時のチェックポイントを解説
この記事がオススメな方
主な対象:製造業の設備管理
- IoTセンサーの導入を検討しており、種類や選び方を知りたいと考えている
- 自社の業界(工場・農業・食品・オフィス)での具体的な活用事例を調べている
- IoT化を進めるにあたり、導入のメリットや注意点を理解したいと考えている
こんにちは。現場の最適化を実現するソリューション「WORKFRONTシリーズ」で、品質向上・生産性向上・省エネ推進を支援する日立ケーイーシステムズのライターチームです。
近年、IoTの普及に伴い、センサーは業界を問わず幅広く導入されるようになっています。工場の生産現場や農場、食品管理やオフィス環境の改善まで、活用領域は拡大しています。IoTセンサーは小さな変化を検知してデータとして活用できることが大きな強みであり、効率化や安全性の向上につながる事例も増えています。この記事では、IoTセンサーの種類や活用シーン、導入の際に押さえておきたいポイントについて解説します。
WORKFRONT/eqIoTセンサーとは温度や動きなど環境の変化を検知する装置のこと
IoTセンサーとは、温度や湿度、照度、動作など環境や対象物の変化を数値データに変換し、ネットワークを通じて収集・管理する装置のことです。金属や半導体素子が持つ特性を利用してアナログ情報を電気信号に変換し、クラウド上に送信することで、遠隔からの監視や制御を可能にします。
これにより設備の稼働状況や作業環境をリアルタイムに把握でき、異常の早期発見や効率的な運用につなげられます。IoTの基盤を支える要素として、工場やオフィス、家庭にまで普及が広がっています。
IoTセンサーの種類
IoTセンサーには多様な種類があり、それぞれが異なる役割を持っています。環境の変化や人の動きを検知し、業務や生活の質を支える仕組みとして利用されています。ここでは代表的なセンサーの特徴について解説します。
人感センサー|動きを検知して防犯に活用
人感センサーは、人や物の動きを赤外線や超音波などで検知し、自動で設備を制御する装置です。自動ドアやトイレの照明、蛇口の自動水栓など身近な場所で多く利用されています。消費電力を抑える省エネ効果に加え、直接触れずに済むことで衛生環境の向上にもつながっています。さらに、防犯対策として玄関や施設の監視用途にも幅広く活用されているセンサーです。
温度・湿度センサー|環境変化を測定して空調管理に利用
温度・湿度センサーは、空間や対象物の温度や湿度を数値化して記録する装置です。温度は接触式・非接触式、湿度は抵抗値や静電容量の変化を利用する方式などがあり、用途に応じて選ばれます。
倉庫や工場では品質管理に、農業ではビニールハウスの環境制御に活用され、オフィスや施設では空調設備と連動して快適な環境づくりや熱中症対策に役立ちます。
CO2センサー|濃度を測定して換気に役立つ
CO2センサーは、空気中の二酸化炭素濃度を測定する装置で、NDIR方式と呼ばれる赤外線吸収の仕組みが主流です。室内のCO2濃度を把握することで換気不足を検知し、オフィスや学校、商業施設での空気環境改善に役立ちます。
ビニールハウスでは光合成を促進するためのCO2管理にも活用され、労働環境や農業分野の生産性向上に貢献します。
開閉センサー|ドアや窓を検知して安全確保
開閉センサーは、磁石の距離変化を利用して扉や窓の開閉状況を判定する装置です。自宅やオフィスでの防犯対策、会議室や施設の利用状況管理に導入されています。工場ではドアが開いた状態では設備を稼働させない仕組みにより、作業者の安全を確保できます。
人感センサーと組み合わせれば入退室の自動管理も可能で、利便性と安全性を同時に高められます。
照度センサー|明るさを測定して省エネ制御
照度センサーは、周囲の明るさを受光素子で検知し数値化するセンサーです。暗さに応じて照明を自動点灯させるほか、液晶テレビやスマートフォンの画面輝度調整にも利用されています。
オフィスや工場では照明の省エネ制御、農業では作物の成長に適した照度管理に活用でき、快適性と省エネ効果の両立に貢献します。
画像センサー|映像を取得して監視に利用
画像センサーは、カメラで捉えた映像を数値化し処理することで、対象物の状態を判定するデバイスです。製造業の検査工程では不良品の自動判定に、医薬品や食品工場では異物混入検知に活用されています。さらに顔認証や監視カメラにも応用され、防犯対策や入退室管理の高度化にも役立ちます。画像情報を活用することで、人の目では難しい判定を自動化できる点が特徴です。
圧力センサー|圧力を計測して設備管理に活用
圧力センサーは、液体や気体にかかる圧力を電気信号に変換して数値化する装置です。コンプレッサーやポンプの吐出圧力制御、タンクや配管内部の圧力監視に使われます。異常な圧力変化を検知すれば漏れや故障の兆候を把握でき、予知保全に活用可能です。製造現場だけでなく、エネルギーやインフラ分野でも重要な役割を果たし、稼働の安定化に貢献します。
水位センサー|液面を監視して防災に生かす
水位センサーは、河川やタンクの水位を超音波や水圧の変化から数値化して観測する装置です。工場や施設ではタンクの残量管理に利用され、適切な排水や給水を支援します。河川やダムの水位をリアルタイムに監視すれば氾濫予測が可能となり、防災や減災に役立ちます。都市部の冠水対策やインフラ保全にも応用され、社会全体の安全性向上に貢献しているセンサーです。
電流センサー|電流を測定して稼働を把握
電流センサーは、回路に流れる電流を抵抗や磁場を利用して数値化する装置です。配電盤や機器の稼働監視に利用され、電流値の変化から故障や異常の兆候を早期に把握できます。工場では生産設備の負荷監視やエネルギー使用量の測定に役立ち、効率的な運用や省エネ施策の推進に貢献します。電圧センサーと組み合わせれば、より精密なエネルギーマネジメントも可能です。
においセンサー|臭気を検知して衛生管理に利用
においセンサーは、金属酸化物半導体の抵抗値変化を利用し、臭気の強さや成分を数値化する装置です。食品工場や製造現場では品質管理や不良品検知に活用され、工場周辺では悪臭対策や環境保全に役立ちます。
目に見えないにおいを定量化できるため、熟練者の感覚に頼らず客観的に管理できます。衛生管理や有害ガス検知など、安全性向上にも欠かせません。
業界別にみるIoTセンサーの活用領域
IoTセンサーは工場や農場、飲食業など幅広い現場で役立っています。それぞれの業界が抱える課題に合わせて導入され、環境改善や安全対策、品質管理などに活用されています。ここでは、代表的な業界ごとの活用シーンを解説します。
工場の温度・湿度管理で熱中症リスクを低減
工場では暑さ指数(WBGT)を基準に環境を管理し、熱中症対策が行われています。温度・湿度センサーで現場を監視し空調を自動制御することで負担を減らします。近年はヘルメットやリストバンド型センサーで体調を把握し、休憩を促す仕組みも普及しています。
飲食店・食品業の温度管理で品質を維持
飲食店や食品工場では、冷蔵・冷凍設備の温度管理が欠かせません。IoTセンサーで温度や湿度を自動記録することで、繁忙時のミスを防ぎ品質を安定化できます。タブレットオーダーや配膳ロボットと連携する事例も増えてきており、省人化と安全性確保を同時に実現しています。
農場の温度・湿度管理で収穫効率を改善
農業ではビニールハウスの温度や湿度をセンサーで制御し、作物の成長を最適化します。照度センサーで日射量を確認し、CO2センサーで光合成を促進することも可能です。
遠隔で少人数による監視ができ、経験や勘に頼らない「スマート農業」が普及し、収穫量や品質の安定につながります。
オフィスや施設環境の改善で快適性を向上
オフィスや商業施設では、温度・湿度センサーやCO2センサーを使った空調制御が進んでいます。開閉センサーと組み合わせて入退室を把握し、人が多い場所へ集中的に換気や冷暖房を行う制御も可能です。快適性の向上に加え、省エネや感染症対策にもつながり、導入は今後さらに広がると見込まれます。
IoTセンサーを選ぶ際のポイント
IoTセンサーは種類が多く、選び方を誤ると期待した効果を得られません。利用シーンや目的に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは導入時に確認しておきたいポイントについて解説します。
使用頻度や利用シーンを考慮して選ぶ
IoTセンサーは使用環境や頻度によって求められる性能が異なります。高温多湿や屋外で使う場合は、防水・防塵性能や動作温度を確認することが重要です。また、電池駆動型は取得頻度が高いと交換コストが増えるため、用途に応じて最適な仕様を検討する必要があります。
センサーの精度と信頼性を確認する
取得データの信頼性を確保するには、センサーの精度を見極める必要があります。温度計測で小数点第1位か第2位まで必要かなど、利用目的に応じたレベルを設定しましょう。誤差が少ない製品ほど価格も高くなるため、必要な精度とコストのバランスを考慮することが大切です。
流通性や価格を比較して導入コストを最適化させる
センサーは市場流通量が多く入手しやすい製品を選ぶと、故障時も交換しやすく運用が安定します。初期導入費用だけでなく、通信費や電源管理など運用コストも把握しておきましょう。小規模から始め、効果を確認しながら拡大するステップ導入がコストを抑える上で有効です。
IoT化の目的を整理して最適な種類を選ぶ
センサー導入の前提として、何を解決するためにIoT化するのかを明確にする必要があります。目的が曖昧ではデータを活用できず投資が無駄になりかねません。品質管理なのか、稼働効率改善なのか、目的に応じて必要な精度や通信環境が変わるため、整理した上で進めましょう。
通信方式や回線速度を確認して安定稼働を実現する
センサーの利用には通信方式や回線速度の選定も不可欠です。Bluetoothは省電力で低コストですが、距離に制限があり、LPWAは広域をカバーできる利点があります。必要な通信距離やデータ量を考慮し、ゲートウェイなど周辺機器との組み合わせを検討することで、安定した稼働を実現できます。
まとめ
IoTセンサーは環境や設備の状態を数値化し、業務効率化や安全性向上に欠かせない存在です。ただし導入にあたっては、環境や目的に合った種類を選び、精度や通信方式を含めた運用体制を整えることが重要です。自社だけで最適な仕組みを構築するには、コストや人材面の負担が大きくなる場合もあります。
このような課題に対応する手段の1つが外部システムの活用です。株式会社日立ケーイーシステムズが提供する「WORKFRONT/eq」は、設備台帳の電子化や履歴管理、保全計画の自動作成などを通じて、工場の保全管理を支援するシステムパッケージです。設備管理や保全業務の効率化でお悩みの際には、「WORKFRONT/eq」の導入をぜひご検討ください。
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