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kintoneでできること・できないこと|用途別に活用範囲と限界を解説
この記事がオススメな方
主な対象:小売業、医療関係、物流業、製造業、教育関係
- kintoneの導入を検討しており、どこまで自社の業務に使えるのか知りたい
- エクセルや他ツールからの移行を検討していて、できること・できないことを比較している
- kintoneは便利と聞くものの、実際の活用範囲や限界を理解して失敗なく導入したい
こんにちは。サイボウズ株式会社が提供するクラウド型業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」の導入・開発を支援する日立ケーイーシステムズのライターチームです。
kintoneは、プログラミング知識がなくても自社の業務に合わせたアプリを作成できるクラウド型の業務改善プラットフォームです。顧客管理や案件管理、日報、申請フローなどを一元化し、チーム全体でリアルタイムで情報を共有できます。
業務効率化を実現する便利なツールですが、全ての要望に応えられるわけではありません。標準機能だけでは難しい活用範囲もあります。この記事ではkintoneで「できること」と「できないこと」を用途別に整理し、導入前に知っておくべき活用範囲を解説します。
kintoneのサービス詳細目次
kintoneとは業務データを柔軟に管理できるクラウドサービス
kintoneは、ノーコードで自社の業務に合わせたアプリを作成できるクラウド型の業務改善サービスです。顧客台帳や案件管理表のように、業務で扱う情報をまとめて管理できる仕組みになっています。アプリにはデータの登録・一覧・検索・コメント機能があり、入力した情報をもとにチーム全体で共有やコミュニケーションが可能です。
また、ExcelやCSVのデータを取り込んで簡単にアプリ化できるほか、テンプレートを活用して素早く構築することもできます。さらに、プラグインや外部サービスとの連携により機能を拡張できるため、業種や業務内容に応じた柔軟な活用が実現できる点も特徴といえるでしょう。
業務効率化・ワークフロー構築でできること
kintoneは、日常業務の属人化を防ぎ、チーム全体の生産性を高める仕組みを整えられます。ここでは、業務効率化やワークフロー(一連の業務手順)構築でできることについて解説します。
紙やExcel業務を一元管理し属人化を解消
従来、紙やExcelで分散していた情報をkintoneに集約することで、業務データを一元管理できるようになります。複数の担当者が同時に最新のデータにアクセスでき、更新履歴なども自動で記録されるため、引き継ぎ漏れや属人化の防止につながります。
ファイルのバージョン管理や手作業での転記作業も不要となり、正確かつスピーディに業務を進められます。
タスク・案件進捗を可視化して抜け漏れ防止
kintoneでは、タスク(個々の具体的な作業、以下同じ)や案件ごとにステータスや担当者を設定でき、進捗状況を一覧で確認できます。グラフや一覧表示を切り替えることで、どの業務が遅れているか一目で把握でき、早期対応が可能です。従来のように口頭確認などに頼らず、誰が何を担当しているのかを全員が共有できるため、抜け漏れのリスクを大幅に減らせます。
申請・承認フローを自動化し決裁スピードを向上
kintoneのプロセス管理機能を使えば、申請から承認までの流れを自動化できます。経費申請や稟議書などをアプリ化し、申請内容を入力するだけで上長へ自動通知される仕組みです。承認や差し戻しもシステム上で完結できるため、紙書類を何度も回す手間がなくなります。
権限設定で安全に情報共有・管理
kintoneでは、ユーザーや部署ごとに閲覧・編集権限を細かく設定できます。顧客情報や人事データなど機密性の高い情報を必要なメンバーだけが確認できるように制御でき、情報漏えいのリスクを最小限に抑えられます。
アクセス履歴の確認や操作ログの保存もできるため、社内外の情報共有を安全に行える環境を整えられます。
データ管理・分析でできること
kintoneは、日々の業務で蓄積されるデータを整理・分析し、意思決定に役立てられる機能も備えています。ここでは、各機能を活用してできることについて解説します。
グラフ・集計・一覧切替でリアルタイム分析
kintoneでは、登録データをもとにグラフや集計表を自動生成できます。売上や進捗状況などをリアルタイムで可視化し、状況の変化をすぐに把握できます。さらに、一覧表示を条件別に切り替えることで、担当者別・期間別の分析も可能です。Excelのように手動で更新する必要がなく、常に最新の情報を確認できる環境が整います。
複数アプリを関連付けてデータを活用
kintoneは、顧客・案件・売上など、異なるアプリを関連付けることで、複数のデータを一元的に活用できます。たとえば、顧客アプリと案件アプリを紐づければ、顧客ごとの取引履歴や契約金額を自動で集計することも可能です。さまざまな情報を1つにまとめられるため、確認や報告作業の効率が大幅に向上します。
Excel・CSV連携でデータを取り込み即データベース化
kintoneでは、ExcelやCSVのファイルを取り込むだけでデータベース化できます。これまでバラバラに保存されていた取引リストや顧客履歴なども、アップロード後すぐに整理・検索可能な状態になります。社内での情報共有や再利用がしやすくなり、データ入力の手間を最小限に抑えられるでしょう。
条件検索・フィルタ・変更履歴で正確なデータ管理
kintoneには、条件検索やフィルタ機能が標準で備わっており、必要な情報を素早く抽出できます。たとえば「担当者Aの今月の案件」など特定条件を設定すれば、瞬時に結果が表示されます。データの変更履歴も自動で保存されるため、いつ・誰が修正したかも追跡可能です。
これにより、ミスや重複登録を防ぎながら、正確で信頼性の高いデータ管理が実現します。
コミュニケーション・情報共有でできること
kintoneは、情報共有や意思疎通を円滑にする仕組みも備わっています。ここでは、具体的にどのようなことができるのか解説します。
スペースで部署・プロジェクト単位の情報共有
kintoneの「スペース機能」を使えば、部署やプロジェクトごとに専用の掲示板を作成できます。会議資料や進捗情報を1か所にまとめられるため、関係者全員が同じ情報を確認可能です。個別メールのやり取りを減らし、チーム全体で最新情報を把握できる環境を構築できます。認識齟齬を防ぎ、業務のスピードも向上します。
コメント機能で案件単位のやり取りを可視化
kintoneのレコード(フォームの複数データを纏めた1つの単位)にはコメント欄があり、案件ごとに意見交換を行えます。メールのように話題が分散せず、やり取りの履歴が全て記録されるため、対応の経緯を簡単に追跡できます。過去のコメントを参照することで、担当者の変更後もスムーズに引き継ぎ可能です。
通知・リマインドで対応漏れを防止
kintoneは、タスクの更新や追加を自動で通知できます。担当者へのリマインド(アラート)設定も可能で、期限が迫った案件を確実に把握できます。メールやチャットでの見落としを防ぎ、必要な行動をタイミングよく促す仕組みです。業務の抜け漏れを防止しながら、全員が同じスケジュール感で動ける体制を整えられます。
外部ゲストとの安全なコミュニケーション環境
kintoneのゲストスペースを利用すれば、取引先や協力会社とも安全に情報を共有できます。閲覧範囲を制限しながら資料を共有できるため、機密情報を守りつつ円滑な連携が可能です。外部ツールを介さずにやり取りできることで、セキュリティリスクを抑えつつ、社外との協働をスムーズに進められます。
kintoneで難しい・できないこと
kintoneは柔軟で使いやすいプラットフォームですが、全ての業務を完全にまかなえるわけではありません。ここでは、標準機能だけでは対応が難しい領域や注意すべき制限について解説します。
複雑な経理処理や会計システムの完全代替
kintoneには基本的な計算機能がありますが、経理や会計システムのような高度な処理には対応していません。税率計算や自動仕訳といった機能がなく、会計業務を置き換えるのは難しいといえます。ただし、専用のプラグインを使えば、請求書発行や会計ソフト連携が可能になります。
大規模な在庫や生産管理のフル自動化
kintoneは在庫や生産の基本管理はできますが、リアルタイム反映や複雑な補充制御などには不向きです。複数拠点の同時運用も標準機能では難しいでしょう。ただし、IoTデバイスや外部システムとのAPI連携で在庫情報を自動更新するなど、部分的な自動化は実現できます。
高度なデータ分析や専門BIツール並みのレポート
kintoneには集計やグラフ機能がありますが、BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)のような多軸分析や高度な可視化はできません。複雑な分析を行うには外部連携が必要です。プラグインなどを活用すれば、kintoneのデータを生かして高度なレポートを作成できます。
数十万件単位の高速処理が必要なシステム運用
kintoneは中規模運用には適していますが、大量データの処理や検索には向きません。件数が増えると動作が重くなる可能性があります。データを分割管理していたり、外部データベースと連携させたりすることで、安定した処理を維持できるでしょう。
全ての業務の完全自動化
kintoneは業務効率化を支援するツールであり、全作業を自動化できるわけではありません。設定や確認には人の判断が必要です。たとえば、受注データから自動で請求書を作成し、承認後に外部システムへ送信するといった複合処理は基本的にできません。
ただし、公式パートナー企業などによっては、基幹システム(販売・会計・生産・在庫管理などの基幹業務を効率化するためのシステム、以下同じ)とのデータ連携や定期処理の自動化を実現できるケースもあります。
kintoneの導入をおすすめする企業
kintoneは、部署ごとに異なる管理方法やツールを使っており、情報が分散しているといった課題を抱える企業におすすめです。業務データを一元化して、入力や共有の手間を減らしたい、属人化を解消して誰でも状況を把握できる仕組みを整えたいといった企業にも向いています。
kintoneの導入をおすすめしない企業
kintoneは、柔軟にアプリを作れる反面、運用や管理の手間をかけられない企業にはあまり向いていません。すでに基幹システムや専用ツールで業務が完結している場合や、必要な機能が少ない単一業務の企業では、kintoneの多機能性がかえって負担になることもあります。
まとめ
kintoneは、業務の効率化や情報共有、データ管理を1つのプラットフォームで実現できる柔軟なクラウドサービスです。ただし、全ての業務を自動化できるわけではなく、自社の業務内容に合わせた設計や連携が重要になります。
既存システムとの連携やアプリのカスタマイズを検討している企業は、公式パートナーによる導入支援を活用するのがおすすめです。サポートを受けながら導入を進めれば、よりスムーズに自社に最適化されたkintone環境を構築できます。まずは、下記の「kintone」ページをご覧のうえ、お気軽にご相談ください。
kintoneのサービス詳細