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kintoneの関連レコード集計をもっと簡単に|自動集計の方法や注意点を解説
この記事がオススメな方
主な対象:小売業、医療関係、物流業、製造業、教育関係
- 複数アプリのデータをまとめて集計したい。関連レコードを自動で反映させる方法を調べている
- 標準機能の関連レコード一覧では集計できないため、自動計算できる設定や手法を知りたい
- kintoneでアプリを横断した数値管理を効率化したい。手入力や手動更新をなくす方法を探している
こんにちは。サイボウズ株式会社が提供するクラウド型業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」の導入・開発を支援する日立ケーイーシステムズのライターチームです。
kintoneは、顧客や案件、売上などをアプリごとに整理して管理できる業務改善プラットフォームです。アプリ間で関連レコードを設定すれば、情報をまとめて参照できるようになります。しかし、標準機能だけでは別アプリの数値を自動で集計できないこともあり、手作業で対応している企業も少なくありません。この記事では、関連レコード集計の仕組みと自動化の方法、業務を効率化するポイントを解説します。
kintoneのサービス詳細目次
kintoneのデータ集計機能は2種類ある
kintoneには、データを整理・分析するための基本機能が複数用意されています。なかでも代表的なのが「関連レコード一覧」と「グラフ表示・クロス集計」です。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
関連レコード一覧で条件一致のレコードを自動表示
関連レコード一覧は、kintoneに標準で搭載されているデータ参照機能です。顧客名や案件番号などの共通項目をキーとして設定することで、条件に一致した別アプリのレコードを自動で一覧表示できます。
たとえば、顧客アプリに営業案件アプリの情報を紐づけると、顧客ごとの進捗状況を1画面で確認できます。データが更新されると自動で最新情報に反映されるため、複数アプリを行き来せず効率的に参照できるのが特徴です。
グラフ表示・クロス集計でアプリ内データを分析・可視化
kintoneには、登録データをグラフやクロス集計表として可視化できる機能も備わっています。棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど多様な形式でデータの傾向を把握でき、項目を掛け合わせたクロス集計では、部門別・担当者別などの比較分析も可能です。
アプリ内の情報を数値化して可視化できるため、売上の推移や案件進捗の確認、業務課題の発見にも役立ちます。日常的な分析なら標準機能でも対応できます。
kintone基本機能の集計には限界がある
kintoneの標準機能では、関連レコードを表示したりアプリ内のデータを可視化したりできますが、横断的な自動集計や連携データの計算には限界があります。ここでは、具体的な機能の課題を解説します。
関連レコード一覧は表示のみで計算できない
関連レコード一覧フィールドは、条件に一致した別アプリや同アプリのレコード(フォームの複数データを纏めた1つの単位、以下同じ)を詳細画面上に一覧表示できる機能です。ただし、この機能では表示されたレコードの合計・平均・最大・最小などの計算を自動で実行できません。
実務では「この顧客の関連案件の合計金額を知りたい」という特定の条件に合致したデータが必要になるケースがあります。しかし、この機能だけでは対応できないことがある点に注意しましょう。別アプリに移動して手計算や別データの抽出が必要です。
アプリ単体のデータしか集計できず横断分析ができない
kintoneのグラフ表示やクロス集計機能では、登録されたアプリ内のデータを基に可視化や分析が可能です。しかし、複数アプリにまたがるデータをまとめて合算・比較するといった横断分析には対応していません。
たとえば、A支社とB支社で別アプリで管理している売上を合算して全国の売上を出したい場合、手作業でデータを統合する必要があります。こうした制限が、経営や管理部門での迅速な意思決定を阻む要因になっています。
ルックアップは自動更新されず手作業が発生する
kintoneにはマスタアプリから別アプリへデータを取得できる「ルックアップ」機能がありますが、取得した値は参照時点のデータのまま更新されません。そのため、商品マスタで価格を変更しても、参照しているアプリ側では自動で反映されない仕様です。
結果、各アプリで都度取得や再入力が必要となり、入力ミスや運用負荷の増加につながります。定期的に更新を行わなければデータの整合性が崩れる点も現場では大きな課題となっています。
関連レコードを自動集計する3つの方法
kintoneの標準機能では自動集計が難しい場合でも、プラグインやJavaScript、外部連携サービスを活用すれば自動化ができるようになります。ここではそれぞれの方法について解説します。
プラグインでアプリ間データを自動集計する
プラグインを導入すれば、プログラミングの知識がなくても関連レコードの自動集計ができるようになります。まず提供サイトからプラグインファイルをダウンロードし、そのままkintoneに読み込みます。次に「集計元アプリ」と「集計先アプリ」を選び、顧客名や案件番号などのキー項目と合計したい金額フィールドを指定します。
最後に合計や平均などの集計方法と、結果を書き込むフィールド(情報を入力または表示するための個別の入力枠、以下同じ)を決めて保存すれば完了です。次からは案件の追加や更新のたびに自動集計が行われ、結果が表示されます。
JavaScriptで独自ロジックを実装して集計する
JavaScriptを利用すれば、関連レコードを取得して任意の条件で自動集計できます。kintoneのカスタマイズ設定からスクリプトファイルを登録し、APIを使って対象レコードを抽出します。合計・平均・件数などを計算するコードを記述すれば、画面表示時に結果を自動で反映できます。
たとえば、月別の受注件数を担当者別に分類したい場合なども、自動計算が可能です。手動でのフィルタリングやエクスポート(システムデータを他のシステムやアプリケーションでも読み込める形式に変換して出力すること)が不要となり、集計スピードが格段に向上します。
連携サービスで高度な自動集計と運用を実現する
外部連携サービスを導入すれば、複数アプリを横断した集計や定期的な自動更新をノーコードで実現できます。利用手順は、kintoneとサービスを接続し、どのアプリのどの項目を自動で集計するかを設定するだけです。
Excelに近い操作で、在庫・経費・売上などのデータをまとめて管理できます。設定したスケジュールで自動集計が実行されるため、常に最新のデータを保てます。人的作業を減らせて部門間の情報共有もスムーズになるでしょう。
関連レコード集計をより効率化するポイント
関連レコード一覧とプラグインや連携サービスを組み合わせることで自動集計ができるようになりますが、設定や表示方法を工夫すれば、さらに数値の見やすさや更新の正確性が向上します。ここでは、自動集計後の業務をより快適にする具体的な設定ポイントを解説します。
件数集計は数値フィールドを使って実現する
プラグインを使って自動集計を設定した際に、件数を正確に把握したい場合は、数値フィールドを活用するのがおすすめです。まず、案件や発注など集計元となるアプリに、初期値「1」が入力される数値フィールドを追加します。
次に顧客アプリなど集計先アプリの関連レコード一覧にこのフィールドを含め、プラグインの設定画面で「合計」を指定します。これにより、関連レコードの件数が自動的にカウントされ、顧客ごとの案件数や発注件数を常に最新の状態で確認できます。
複数集計や表示レイアウトはプラグインで最適化する
金額・件数・平均値など複数の数値をまとめて表示したい場合は、プラグインでの拡張が効果的です。設定画面で「合計」「平均」「最大値」など複数の集計方法を選択し、表示先のフィールドやスペースを指定します。
また、フォントサイズや配置位置も調整できるため、ダッシュボードのように整ったレイアウトを作成可能です。顧客単位の売上や受注件数などを1画面で確認でき、レポート作成やミーティング準備の効率が大幅に向上します。
最新データを自動反映できる仕組みを整える
関連レコードの集計結果を常に最新に保つには、プラグインや連携サービスの自動更新機能を活用します。設定画面で「レコード更新時に再集計」や「指定時間に自動更新」を選び、対象となるアプリやフィールドを指定します。
たとえば、在庫アプリや案件アプリのデータが更新された際に即座に再計算されるようにすれば、古い数値を参照するリスクを防げます。常に最新の状態が維持され、集計精度と業務判断の信頼性が高まります。
関連レコード一覧を使う際の注意点
関連レコード一覧は、別アプリの情報を一画面で表示できる便利な機能ですが、標準仕様にはいくつかの制限があります。ここでは、その詳細について解説します。
詳細画面のみで表示され一覧画面には出せない
関連レコード一覧は、あくまで「詳細画面」で他アプリの情報を確認するための機能です。標準仕様ではアプリの一覧画面に表示できず、検索結果にも反映されません。たとえば「顧客ごとの案件進捗を一覧で見たい」と思っても、個別レコードを開く必要があります。
一覧画面で確認したい場合は、一覧表示に対応したプラグインを導入するか、グラフ機能や外部ツールと連携して可視化する方法を検討しましょう。
アクセス権の設定によって閲覧内容が変わる
関連レコード一覧に表示される内容は、参照元アプリ側のアクセス権設定に依存します。たとえば案件アプリの閲覧権限を持たないユーザーは、顧客アプリの関連レコード一覧を開いても「アクセス権がありません」と表示されます。
担当者によって表示内容が異なることもあるため「閲覧権限」と「編集権限」を分けて設定し、誰がどの情報を見られるか明確にしておくことが重要です。
条件に使えるフィールドが制限されている
関連レコード一覧で「表示するレコードの条件」に指定できるフィールドは限られています。文字列(1行)、数値、レコード番号、リンクなどは利用できますが、サブテーブル内のフィールドや一部の計算フィールドは使えません。
たとえば、テーブル内の「担当者」フィールドを条件に設定しても反映されないため、通常フィールドを利用する必要があります。設定時は、参照元と参照先のフィールド型を一致させましょう。
まとめ
kintoneの関連レコード集計を活用すれば、複数アプリのデータを自動で集約・分析でき、日々の集計作業を大幅に効率化できます。従来のように手動で計算や転記を行う必要がなくなり、正確でリアルタイムな数値管理が可能になります。
プラグインや連携サービスを組み合わせることで、集計結果の自動更新や複数条件での分析も実現できます。現場での意思決定が早まり、データ活用の質も向上するでしょう。
業務のデジタル化をより確実に進めたい企業には、日立ケーイーシステムズのkintone導入支援がおすすめです。サイボウズオフィシャルパートナーとして、導入からカスタマイズ、基幹システム(販売・会計・生産・在庫管理などの基幹業務を効率化するためのシステム)との連携までワンストップで対応します。自社に合ったkintoneの運用を始める際には、ぜひ無料トライアルや導入相談をご利用ください。
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